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LESSON
POINT1
「後戻りできないこと」を意識しよう
番組中のキーワード 妨げる/hinder
今回の主人公は中学生です。いわゆる「Z世代」(1990年代後半から2010年頃に生まれた世代)です。インターネットやスマートフォンがすでにある環境で生まれ育ったデジタルネイティブ世代で、英語ではGeneration Z(ジェネレイション・ジィ)、略してGen Z(ジェン・ジィ)と言います。
彼は少年時代を過ごしたドイツでの体験でSDGsに目覚め、同世代の意識を変えたいと行動を起こしました。その思いをインタビューで話しています。
「行動を起こすことがなかなか出来ない社会が、いま日本にはあるなってすごく感じていて、そういった挑戦とか行動を起こすことを阻んでいるような壁をどんどん壊していきたい」
⇒I feel Japan is still a society that hinders people
to start movements or challenges.
I want to break those barriers that stand in our way.
今回のキーワードhinder(妨げる、邪魔をする/ヒンダ)は、ドイツ語や英語などの祖先の言語(ゲルマン祖語)hindronaが語源です。分解すると、「hinder(後ろに)」+「-ona(する)」で、後ろに戻すことを意味しています。
「後ろに」というbehind(ビハインドゥ)も同じ語源を持つ関連語です。SDGsの理念Leave No One Behind(誰も置き去りにしない)ですっかりお馴染みの英語ですね。
地球温暖化やジェンダー不平等、貧困・格差など地球上には後戻りできない課題ばかりです。いまの世代だけでなく、これからの世代もずっと成長を続けられるように、さまざまなレベルでの行動を知っていきましょう。
LESSON
POINT2
音楽、アート、文学といった「文化」が翻訳を引き立てる
翻訳の肝
今回のレッスンの英語タイトルFifteen’s Mapにピンと来たあなたは、相当な歌好きです。若者の代弁者、カリスマとして今もなお聞く人の心を捉えるシンガーソングライター・尾崎豊(1965-1992)の『十七歳の地図』(1983)に触発されて訳されています。英題もまさしくSeventeen’s Mapと言います。
10代の若者の描く未来の地図には夢もあるけど、葛藤もある。自分や社会を変えたい心の叫びを歌で表現した尾崎の魂は、現在の10代にも通じるものがあると思います。そしてSDGsは未来の地図なのです。
ちなみに尾崎は、芥川賞作家・中上健次(1946-1992)の小説『十九歳の地図』の映画版を見て、この曲を作ったとも言われています。
番組の中で高校2年生がこう言っています。
「私たちの世代の方が思考が変わりやすい。『これ悪かったんだ。じゃ変える!』とか」
⇒Our generation has a more flexible mind-set.
When we notice that something is wrong, we act on it.
*flexible(柔軟な/フレキスィブル)、mind-set(考え方/マインドゥセット/mindsetとも書く)、act on(~に従って行動する/アクトゥ・オン)
「変える」という文脈にchangeではなくact onを使い、悪かったことを認識して行動で変えていくと解釈して訳しました。
後戻りせず、頭を柔軟にして走り続ける中高生と一緒に未来を変えていきたいですね。
SDGsは国連のすべての加盟国が合意した目標だから、各国の政府が2030年までの実現を目指すことは当然のことだよね。それにもましてWHOなどの国際機関や地方自治体、民間企業、そして若者を含めた個人が参加して行動を起こすことがとても重要なんだ。
サステナティーチャー
フジテレビで5年間、LA駐在を経験。現在「フューチャーランナーズ」の英語校正を担当。エンタメを利用して英語を学ぼうと、洋楽のバンド活動にいそしむ。
(C)ガチャムク
今回取りあげた中学生のお兄さんたち、みんな生き生きと輝いてたね。
ひとりで全部解決するのは難しいから、同じ気持ちを持った仲間と協力することが大事だとわかったよ。そうすれば解決する問題もある。大人になるのを待ってるんじゃなくて、行動するのは今だね。
LESSON
POINT3
発音しよう
- ・Hinder
- ・Japan is still a society that hinders people to start movements.
- (日本はまだ行動を起こす人を阻む社会である)
鈴木 唯
フジテレビアナウンサー
早稲田大学国際教養学部卒業。中高はオール英語のコースを選択し、米国ワシントン大学への留学経験あり。
モットーは「やらない後悔よりやる後悔」。
英語好きを仕事に生かし、ハリウッドセレブや海外アスリートの取材を担当している。大好きなレオナルド・ディカプリオもインタビュー済み。実はゲーム好き。