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LESSON
POINT1
音楽を通じて知ってもらいたい難民の現状
番組中のキーワード 知ってもらう/spotlight
MIYAVIさんが国連難民高等弁務官事務所 (UNHCR=Office of the United Nations High Commissioner for Refugees) と出会ったきっかけ。それは女優のアンジェリーナ・ジョリーが監督した映画への出演でした。彼女はUNHCRの特使も務めています。
ジョリー特使から難民の現状を聞いたことで、MIYAVIさんは難民キャンプを自分の目で見て肌で感じたいと思いました。
現地に行くと、子どもたちは家計を支えるために働き、キャンプには学校すらないことを思い知らされました。この現状を音楽を通じて知ってもらいたい、とMIYAVIさんは願っています。
「彼らの存在をもっと知って欲しい。今年の難民の日のイベントでも支援を呼びかけました」
⇒Spotlighting child refugees, he called for support at a World Refugee Day event this year.
*spotlight(~に人の目を向けさせる/スパトゥライトゥ)、refugee(難民/レフュジー)、call for(~を求める/コル・フォァ)
今回のキーワードspotlightは、元々は、劇場などで観客の注目を集めるために使われる、一点を集中的に照らす照明のことです。これから転じて、「特定の事に注目する」という意味にも使われます。
「知ってもらう」の英語にはSDGsによく出てくるawareness(知ること/アウェアネス)を使うことができます。「彼ら(難民の子どもたち)の存在を知ってもらう」はraise awareness of child refugeesと言えますが、今回の主人公はミュージシャンなのでステージを連想させる単語spotlightを使いました。
欧米には「ノブレス・オブリージュ」という道徳観があります。フランス語で、直訳すると「高貴さは(義務を)強制する」。一般的には「財産、権力、社会的地位の保持には義務も伴う」ことを指します。この道徳観は成功した芸能人にも当てはまり、セレブと言われる人がチャリティやボランティア活動を通して社会貢献することはごく自然のことなのです。
音楽で子どもたちに夢と希望を届けるのが自分の役割だ、と語るMIYAVIさん。それが難民キャンプでギターを弾く理由なのです。
「ギターで何ができるのか?直接行って弾く。僕のギターを聞いてくれる人に対してメッセージを伝える。それが僕にできること」
⇒What can I do with my guitar?
To go there and play.
To pass on the message to people who listen to my playing.
That’s what I do.
LESSON
POINT2
英語圏の映画・ドラマで言葉を磨こう
翻訳の肝
難民キャンプの子どもたちはみんな、目の前で演奏される音楽を聞いたことがありませんでした。ナレーションでこう言っています。
「生まれて初めて生の音楽に触れる子どもたち」
For the first time ever, children watch live music.と表現できます。
今回の放送エピソードはエンターテインメントの要素が入る話なので、ちょっと工夫して翻訳しました。
⇒Here, the children’s first encounter with live music.
*encounter(出会い、遭遇/インカウンタ)
日本語に直すと「さあ、これから子どもたちと生の音楽の初めての遭遇です」となります。実はencounterはアメリカの有名な映画タイトルから引っ張ってきています。
『Close Encounters of the Third Kind』(邦題『未知との遭遇』 スティーブン・スピルバーグ監督、1977年)― 原題は、地球外生命体とのコンタクトの度合いを示す用語で「第三種接近遭遇」のことです。
ギターが奏でる生音は子どもたちにとって「何だ!これは!」というくらい未知との遭遇だったと思い、こう訳しました。
英語圏のカルチャーとしてのエンターテインメント作品の英語を覚えておくと、翻訳だけでなく、英語圏の人との会話にスパイスを利かせられます。
イギリスのロックバンド、コールドプレイは環境に及ぼす影響を懸念してコンサートツアーを中止している(2021年4月現在)。アフリカの貧困問題に積極的に取り組んでいるのが、アイルランドのロックバンド、U2のボノ。記憶に新しいところだと、レディ・ガガが呼びかけた、新型コロナウィルス感染症に対応する医療従事者支援のチャリティ・イベント『One World: Together At Home』(2020年4月18日)もあったよね。
欧米のアーティストが環境や政治に敏感なのは、ノブレス・オブリージュの意識だけでなく、ロック・ミュージシャンとしての存在理由そのものだと思う。それは洋の東西を問わない。僕たちが普段行けない難民キャンプにアーティストが足を運び、現状を知らせてくれることは、とても意味のあることなんだ。
サステナティーチャー
フジテレビで5年間、LA駐在を経験。現在「フューチャーランナーズ」の英語校正を担当。エンタメを利用して英語を学ぼうと、洋楽のバンド活動にいそしむ。
(C)ガチャムク
昔、『We Are the World』という歌がありましたな。わたくし、『ライブ・エイドLIVE AID』というイベント、よ~く覚えております。世界が衛星中継でつながって、アフリカの飢餓や貧困を助けるグローバルなチャリティコンサートの先駆けでしたな。音楽のチカラはすごいと思いましたぞ。
日本も世界もミュージシャンが手を組んで伝えるメッセージが世の中を変えることができると希望を持ちたいですな。
LESSON
POINT3
発音しよう
- ・Spotlight
- ・Spotlighting child refugees.
- (難民の子どもたちを知ってもらう)
鈴木 唯
フジテレビアナウンサー
早稲田大学国際教養学部卒業。中高はオール英語のコースを選択し、米国ワシントン大学への留学経験あり。
モットーは「やらない後悔よりやる後悔」。
英語好きを仕事に生かし、ハリウッドセレブや海外アスリートの取材を担当している。大好きなレオナルド・ディカプリオもインタビュー済み。実はゲーム好き。