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LESSON
POINT1
「関わる」ことがSDGsの第一歩
番組中のキーワード 社会に関心を抱く/socially engaged
ウガンダを訪れ、難民の現状をリアルに感じてきた高校生が、同世代とともに難民問題を考える学生団体を立ち上げました。なぜそんな思いを抱くようになったのか、こう答えています。
「部活があって勉強もあって、自分のことだけで手一杯になってしまうのが現状で、
あらゆる社会問題に対して意見を持っている人が少ない。
知らないということが、怖い状態だっていうのが僕たちの考え方」
⇒Students are too occupied with schoolwork to be socially engaged
with the problems around us.
The lack of awareness is a serious problem.
*occupied(ふさがられる、占拠される/オキュパイドゥ)、schoolwork(学業/スクールワーク)、socially(社会について/ソウシャリィ)、lack(不足/ラク)、awareness(アウェアネス/自覚、気づいていること)、serious(重大な/スィアリアス)
社会問題に対して意見を持っていることは、すなわち政治や社会の問題に積極的に関心を抱いていることです。それを表すのにぴったりな形容詞が、今日のキーワードの“engaged”(関心を抱いている/インゲイジドゥ)です。名詞形のengagement(インゲイジメントゥ)を使ったengagement ring(エンゲージリング、婚約指輪)ならみなさんも聞いたことがあるでしょう。“engage”(インゲイジ)は、誓いなどにより2つのものがしっかり向き合ったり、噛み合ったりすることを意味します。人間同士なら婚約ですね。そこから広がり、「関わる」というニュアンスも含まれます。
ちょっと学校の勉強っぽくなりますが、おなじみの「too~to…構文/あまりに~過ぎて…できない」を使いました。字数の関係で「部活」の翻訳はカットしました。「学生たちは、学業に時間を取られ過ぎて、僕たちの周りの社会問題に関心を持つことができない」という風に訳しています。
*部活は課外活動(学校のカリキュラムとは別の活動)ということで、“extracurricular activity”(エクストゥラカリキュラァ・アクティーヴィティ)と言います。
LESSON
POINT2
英語以前に日本語を解釈する力を!
翻訳の肝
テレビや映画などの映像翻訳は、同時通訳のように一字一句すべてを訳しているわけではありません。みなさんも映画館で日本語の字幕を読んで、「あんなこと言ってたかな~」と気づくことはありませんか。それでも話の筋について行っているはずですよね。番組中の最後のインタビューを見てみましょう。
「何も知らないと(日本に)難民の人が来て犯罪を犯してしまうのではないかとか。
知ることを通して相手の立場を慮ることができたり、
当事者意識をもって相手の立場に立つことができる」
インタビューの音声は8秒です。8秒間で英語の字幕を読んでもらわないといけません。こう意訳しました。
⇒Our lack of knowledge can cause negative prejudices,
Once you know and care about others,
you can see the problems from their perspectives.
*knowledge(知っているということ/ナリジ)、cause(引き起こす/コズ)、negative(良くない/ネガティヴ)、prejudice(偏見/プレジュディス)、 care(気づかう/ケア)、perspective(見方、視点/パースペクティヴ)
訳した英語を日本語に戻すと、「僕たちの知識不足が否定的な偏見を生みます。一度でもほかの人のことを知り、気づかえば、相手の視点で問題を見ることができます」という風になっています。
「難民の人」や「犯罪を犯してしまう」という英語は全く入れていませんが、言いたいことは変わっていませんね。日本語をいかに解釈するか。日本語を読み解く力が英語以前に必要なのです。
グローバル人材というと、昔ほどではありませんが、いまだに英語を中心とした語学力に比重が置かれているように思います。確かにコミュニケーションの道具として、外国語は必要です。注目したいのは、今回取り上げた高校生たちが、“知らないということ”は怖いと感じ、行動に移したことです。難民に対する偏見や無理解こそが、国内にあるグローバル問題だと彼らは考えています。
そのような人材こそがSDGsに必要ですね。
今回の高校生は、SNSを通じて全国の中高生に活動を呼びかけたそうだけど、SNSでよく目にするエンゲージメント率も「どれくらい関わっているか」という意味で使われているよ。キーワードの“engaged”や“engagement”を覚えて、社会と関わり続けましょう。「他人事を自分ごとに」。
サステナティーチャー
フジテレビで5年間、LA駐在を経験。現在「フューチャーランナーズ」の英語校正を担当。エンタメを利用して英語を学ぼうと、洋楽のバンド活動にいそしむ。
(C)ガチャムク
ぼくはお天気に毎日関わっていて、十分自分ごとにしてるけど、まだまだ知らなくちゃいけないこと、たくさんあると分かったよ。先は長いけど、コツコツ教えてね。
LESSON
POINT3
発音しよう
- ・Engaged
- ・Students are too occupied with schoolwork to be socially engaged with the problems.
- (学生は、学校のことに時間を取られすぎて社会問題に関心を持っていない)
鈴木 唯
フジテレビアナウンサー
早稲田大学国際教養学部卒業。中高はオール英語のコースを選択し、米国ワシントン大学への留学経験あり。
モットーは「やらない後悔よりやる後悔」。
英語好きを仕事に生かし、ハリウッドセレブや海外アスリートの取材を担当している。大好きなレオナルド・ディカプリオもインタビュー済み。実はゲーム好き。