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LESSON
POINT1
遊びから学ぶ対等と平等
番組中のキーワード 対等な立場/equal footing
今回の主人公は、30年以上前にウィーンで生まれた、暗闇の中で遊びながら「対等」を学べるエンターテインメントを日本に導入しました。主人公は、町でよく見かける光景をいつもこう思っていました。
「杖をついている人に町で出会ったとすると、『助ける』『助けられる』という立場が固定化してるんですね」
「固定化」はあえて直訳せず、「杖をついている人は助けを受ける人、ついていない自分たちは助けを与える人と見なしている」と意訳しています。
⇒People see a person with a white cane as a receiver and themselves as givers of help.
*white cane(白杖/ホワイトゥ・ケイン)、receiver(受け取る人/リスィーヴァ)、giver(与える人/ギヴァ)
※ここでは視覚障がい者のことを話していますから、杖は「白杖」のことで海外でもwhite caneと言います。
そして「(障がい者と)対等に出会う機会というのは貴重だ」と思いました。
⇒Meeting people with disabilities on an equal footing is valuable.
*disability(身体障がい/ディサビリティ)、equal(平等な/イークワル)、footing(立場、人間関係/フッティング)、valuable(貴重な/ヴァリュアブル)
※on an equal footingは「同等・平等の立場で」を意味します。on an equal basisも同じ意味を持つ表現です。basis(基準、原則/ベイスィス)
今回のキーワードequal footingが特徴であるエンターテインメントでは、視覚障がい者が暗闇の中で参加者をアテンドし、みんなで遊びます。スイカ割りのように。
「目をつぶって、周りの声だけを頼りに目標にたどり着けるか。
暗闇では皆対等。必死に助け合います」
目をつぶっていることは映像から明らかに分かるので訳していません。
⇒It’s a game to reach an object by just following the voices of others.
In complete darkness, everyone is equal and has to help each other.
*object(目標/オブジェクトゥ)、complete darkness(暗闇/カムプリートゥ・ダークネス)
楽しみながら人と出会い、対話することで何かが始まる。声を掛け、助け合える社会を主人公は目指しています。
「人はどんな状態でも対等で平等なんだということを遊びながらわかれば、社会はぐっと変わっていくと思います」
⇒Every person is equal, and I believe if people learn this through games, the views of society will change.
*view(光景/ヴュー)
LESSON
POINT2
話し手の内なる感情を訳すことにも挑戦してみよう
翻訳の肝
番組では、音の無い世界で遊ぶ体験も取りあげました。出されたお題、たとえばレモンを顔の表情だけで表現したり、楽器の音色も手の動きで伝えます。言葉がなくてもコミュニケーションを取ることができることを体験した参加者は感想をこう述べています。
「顔とかボディーランゲージでも相手に伝わるってことがすごく学べた」
そのまま訳すと、“I learned that facial expressions and gestures are strong tools of communication.”ですが、参加者の「まさか顔で伝わるとは思っていなかった」という驚きのニュアンスを込め、また「知って良かった」との思いも含めて訳しました。
⇒It was worth knowing that our face and gestures can tell more.
*worth(~の価値がある/ワース)、gesture(身ぶり手ぶり/ジェスチャ)
「顔やボディーランケージが言葉以上に伝わると知ったことはとても価値があった」と表しています。話し手の表情やトーンから内面を読み取って、このように一歩踏み込んだ意訳も是非やってみて下さい。
今回のように暗闇や無音の中でいろいろな体験をしながら、みんなで手を繋いで助け合ったりしていくうちに、周りの人の大切さに気付いたり、自分も誰かの役に立っていることに気付くわけだね。まさしく体験することで自分ごとの意識が生まれ、それがD&I(ダイバーシティ&インクルージョン/多様性と受容)なマインドを持つことに繋がっていきます。みんなを区別することなく対等と認め、共に生きる社会を目指しましょう。
サステナティーチャー
フジテレビで5年間、LA駐在を経験。現在「フューチャーランナーズ」の英語校正を担当。エンタメを利用して英語を学ぼうと、洋楽のバンド活動にいそしむ。
(C)ガチャムク
町で迷子になったとき、道を教えてくれる人がまわりにいれば本当にありがたいよね。助けてくれる人がいることはとても心強いし、その存在が世界を広げてくれる。ひとりでは生きていけないから、みんなの助けが必要なんだ。ぼくは、町で困っている人を見かけたら「何かお手伝いは必要ですか」と声をかけるようにしたいね。
LESSON
POINT3
発音しよう
- ・Equal footing
- ・Meeting people with disabilities on an equal footing is valuable.
- (障がい者と対等な立場で出会うことは貴重だ)
鈴木 唯
フジテレビアナウンサー
早稲田大学国際教養学部卒業。中高はオール英語のコースを選択し、米国ワシントン大学への留学経験あり。
モットーは「やらない後悔よりやる後悔」。
英語好きを仕事に生かし、ハリウッドセレブや海外アスリートの取材を担当している。大好きなレオナルド・ディカプリオもインタビュー済み。実はゲーム好き。