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LESSON
POINT1
見方を変えて世界をさわろう
番組中のキーワード さわることができる/tangible
教室で見るメルカトル図法の世界地図は、400年以上前から航海図として使われていました。平面に書かれていますが、そもそも地球は丸いもの。立体のものを完全に平面に書くには無理があります。実際の面積はオーストラリアの方が大きいのに、メルカトル図法ではグリーンランドの方が大きく描かれています。
その点、地球儀は地球と同じ球体。面積・角度・方位・距離のすべてを同時に正しく示すことができます。デジタル技術を使い、気象衛星からのデータを直接映し出す地球儀が今回のお話です。
番組ではこんなナレーションがありました。
「気象衛星からのデータをリアルタイムで映し出す、デジタル地球儀「触れる地球」を開発」
「気象衛星」は“meteorological satellite”(ミーティァアロジカル・サテライトゥ)と言いますが、字数の関係で「気象」をカットしました。
⇒…developed a digital “Tangible Earth” showing real-time data from satellites.
*develop(開発する/ディヴェロプ)、digital(デジタルの/ディズィトゥ)、tangible(さわれる/タンジボウ)、satellite(衛星/サテライトゥ)
今回のキーワード“tangible”。さっそく分解してみます。
・tango: ラテン語tangereが語源の「さわる」
・ible: 「~できる」という接尾辞
合わせると、「さわることができる」、すなわち「形があるもの、有形の」という意味になります。
tangibleの反対、「さわることができない、無形の」は、否定を表す“in”をくっつけて“intangible”(インタンジボウ)。セットで覚えておきましょう。
“tangible cultural asset”(有形文化財)←→“intangible cultural asset”(無形文化財)
*cultural asset(文化財/カルチュラル・アセトゥ)
ほんとうにラテン語から来ている英語はたくさんあります。語源を知っておくと記憶にも残りやすいし、語彙も飛躍的に増えます。
さて、地球儀の話に戻りますと、地球儀は立体なので、視点をいろいろ変えられるのが利点です。回転させて地球の裏側を見ることもできます。これにデジタル技術が加われば、まさしく鳥の目で、俯瞰で地球を見て触って感じることができます。地球温暖化でどのエリアがどんなに熱くなっているのか、海に捨てられたプラスティックごみがどこまで流されているのか。
私たちのふるさと地球を“さわる”ことで問題をより身近に感じ、自分ごととして環境を考える。学びの場の新しい形ですね。
LESSON
POINT2
訳すときも読者ファーストで
翻訳の肝
「21世紀の子供たちが、16世紀の信長の時代の地図、メルカトル図法で学んでいる」
冒頭のインタビューでは、信長が出てきました。日本の小学校の教科書で学んだ人なら、織田信長のことだと分かります。でも、信長の名前をそのまま文章に入れて、“the age of Nobunaga”と表現しても、海外の人にはちんぷんかんぷんです。ましてや字数制限のある字幕翻訳です。信長がどんな人物であるかという説明を入れるのは不可能です。そこでこう訳しました。
⇒Children today are still studying with Mercator projection maps of the 16th century.
*Mercator(メルカトル[人の名前]/マーケイタ)、projection(投影法/プロジェクション)
いたってシンプルです。信長が活躍していた「16世紀」だけを翻訳に入れています。ここでは、現在の状況を反映した地図ではなく、古いままの地図を使って勉強していることが分かればいいのです。
今回のポイントは、言いたいことをすべてそのまま英語に翻訳しても伝わらないということです。あくまでも読む人の立場になって訳す。日本人が知っていることを、必ずしも海外の人は知らないという前提で翻訳しなくてはなりません。
字幕に字数制限がないのなら、信長の簡単な説明を入れて、こんな風に訳すことができました。
⇒Children today are still studying with Mercator projection maps of the 16th century, when a powerful warlord Oda Nobunaga was trying to end a century-long civil war and unify Japan.
*powerful(有力な/パウアフル)、warlord(大名/ウォーロードゥ)、century-long(100年続く/センチュリィ・ラング)、civil war(内戦/シヴィル・ウォー)、unify(統一する/ユニファイ)
「21世紀の子供たちが、16世紀の時代の地図、メルカトル図法で学んでいる。それは織田信長という有力大名がおよそ100年続いていた戦国時代を終わらせて天下統一をしようとしていた時代である」
長いですね。
宇宙から地球を見た大先輩のガチャピン。あれは1998年のことだから、ある意味デジタルネイティブの先駆けと言ってもいいよね。
お天気にも詳しいけど、宇宙規模でいろんなtangibleなものを体験してきたガチャピン、尊敬するよ。新しい技術はこれからもどんどん出てくるから、積極的に手にしていこう!
サステナティーチャー
フジテレビで5年間、LA駐在を経験。現在「フューチャーランナーズ」の英語校正を担当。エンタメを利用して英語を学ぼうと、洋楽のバンド活動にいそしむ。
(C)ガチャムク
デジタルで空から地球の体温を測っちゃうなんてスゴイことだね。地球も生き物だって覚えておかなくちゃ。ごみも何もしないと、地球の裏側に流されちゃう。
ぼくも、お天気の問題と一緒に、地球規模の問題を見て触れながら、知っていきたいと思うよ!
LESSON
POINT3
発音しよう
- ・Tangible
- ・He developed a digital tangible earth.
- (彼はデジタルのさわれる地球を開発した)
鈴木 唯
フジテレビアナウンサー
早稲田大学国際教養学部卒業。中高はオール英語のコースを選択し、米国ワシントン大学への留学経験あり。
モットーは「やらない後悔よりやる後悔」。
英語好きを仕事に生かし、ハリウッドセレブや海外アスリートの取材を担当している。大好きなレオナルド・ディカプリオもインタビュー済み。実はゲーム好き。