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LESSON
POINT1
freeが位置を変えたなら free~と-free
番組中のキーワード 電柱のない/pole-free
自然災害の多い日本では、台風や地震で電柱が凶器となることがあります。それを防ぐのが、電柱を地中に埋める無電柱化です。
まず、「電柱」は正式には“utility pole”(ユーティーリティ・ポウル)と言います。“pole”だけでも通じます。“utility”は「役に立つもの」という意味ですが、“utilities”(ユーティーリティーズ)と複数形にすると公益施設の「電気・ガス・水道」を表現できます。
番組ではこんなインタビューがありました。
「地方都市としてこの先どうやって生き残っていくかを考えた時に
この歴史と文化を磨いて世界に発信して行こう。
その為にできることの一つが無電柱化でした」
このコメントを字数制限のある字幕として英語化するにあたり、今回のキーワード“pole-free”を使いました。
⇒When I think about revitalizing a local city,
history and culture are our assets.
So we aim for a “pole-free city.”
*revitalize(活性化する/リーヴァイタライズ)、assets(財産・有用なもの/アセッツ)、aim for(~を目指す/エイム・フォァ)
「地方都市を活性化できないか考えた時、この町の歴史と文化は強みになると思いました。だから我々は“電柱のない町”を目指すことにしました」という意味の英語です。
今回のポイントは、この“free”(フリー)の使い方です。
freeはよく知られた形容詞ですが、“free~”と“-free”のように、前に来る使い方と後に来る使い方があります。そして意味も変わってきます。
前に来るフリーは、「フリーダイヤル」、「フリーペーパー」、「フリーWiFi」などよく目にしますよね。意味は「無料の~」ということ。
では、後に来る「○○フリー」。ハイフンで結んだ “-free”はどうでしょう。
SDGsにも深く関係する、バリアフリーが頭に思い浮かぶかもしれません。デューティーフリーもありますよね。この場合のfreeは“free of/from~”(~がない)という意味のfreeです。「“barrier”(障壁)がない」、「“duty”(関税)がない」という意味です。Duty-free shopは免税店。
ただ、ちょっと注意したいのが“alcohol-free”です。「アルコールが入っていない」ではありません。「アルコールが許されていない」という意味で「アルコールがない」なのです。“alcohol-free zone”という看板を海外のビーチや公園で見ることがあるかもしれません。見かけたら、飲酒はもちろん、栓の開いたお酒を持っていてはいけません。「アルコールが入っていない飲み物」は“non-alcoholic drinks”ですのでご注意を。
LESSON
POINT2
SDGsも英語学習もresilientに
翻訳の肝
自然災害が多発する日本のことを海外メディアが報道する時、よく使われる英単語があります。今回の字幕でも出てきました。
「官民一体で金沢の魅力を際立たせ、災害にも強い町に」
「官民一体で」は字数制限のため、単に“together”(協力して/トゥゲザ)としました。
⇒Accenting Kanazawa’s charm together and making the city resilient against disaster.
*accent(強調する/アクセントゥ)、charm(魅力/チャーム)、disaster(災害/ディザスタ)
「災害に強い」という意味で使った形容詞が“resilient”(リズィリアントゥ)です。名詞形の“resilience”(レジリエンス)は、「挫折、困難な状況からの回復力、もとに戻る力」、「ゴムのような弾力性」、「困難や変化の中、しなやかに生きる強さ」などと訳される言葉です。もっと簡単に「へこたれないこと」を意味することもあります。海外メディアにこの単語がよく出てくるんです。
東日本大震災直後の海外メディア報道では、日本国民が秩序よく困難に対応する姿を形容して、連日この単語を使っていました。また震災後の女子サッカーワールドカップで劇的な優勝を成し遂げた「なでしこジャパン」は、ニューヨーク・タイムズ紙で“a resilient team”と称賛されていました。
最近“Resilient SDGs”という言い方も英語メディアで目にします。SDGs達成には、へこたれないことですね。
“free”の使い方、面白かったでしょ?ハイフンで2つの英語を結んだ表現。Pole-freeのように「名詞-形容詞」型の表現は、ほかにもいろんなパターンがあるから、また出てきたときに覚えようね。
じゃあ、ムック。ここで質問。“smoke-free room”ってな~んだ?
サステナティーチャー
フジテレビで5年間、LA駐在を経験。現在「フューチャーランナーズ」の英語校正を担当。エンタメを利用して英語を学ぼうと、洋楽のバンド活動にいそしむ。
(C)ガチャムク
これは、引っ掛け問題ですな。しっかり学んだから間違えないですぞ。
煙が許されていない部屋なので、「禁煙室」のことですな。freeと聞くと、「どうぞご自由に」って勘違いしそうだから気をつけなくちゃいけないですぞ〜!
LESSON
POINT3
発音しよう
- ・Pole-free
- ・We aim for a pole-free city.
- (私たちは電柱のない町を目指します)
鈴木 唯
フジテレビアナウンサー
早稲田大学国際教養学部卒業。中高はオール英語のコースを選択し、米国ワシントン大学への留学経験あり。
モットーは「やらない後悔よりやる後悔」。
英語好きを仕事に生かし、ハリウッドセレブや海外アスリートの取材を担当している。大好きなレオナルド・ディカプリオもインタビュー済み。実はゲーム好き。