LESSON
POINT1
子供たちを救う魔法の言葉
番組中のキーワード ありのままで/Be yourself
日本では、いまだに国民性からか、「みんなと同じ私」、「平均的な私」が求められます。他人と違うことで生きづらさを抱える子供がなんと多いことでしょう。そんな子供たちに居場所が与えられ、自信を持って暮らしている姿を番組は追っています。
ある女の子がインタビューに答えていました。
「いま舞台やってて。ここに来て、自分らしくいられるようになったかな」
⇒I’m doing a play now. When I’m here, I can be myself.
*do a play(演技をする、芝居を手掛ける)
今回の英語はいたってシンプルです。“Be yourself.” 「あなたらしく」、「自然体でいよう」、「ありのままでいよう」という意味です。意訳すると「素直になろう」という意味でも使われます。
ちなみに、日本でも大ヒットした映画「アナと雪の女王」の主題歌は『ありのままで』でした。実は、英語では「ありのままで」という意味ではありません。英語のタイトルは“Let It Go”です。“Be Yourself”や“Be Myself”ではないですね。
“let”は、「~を…させる」という使役動詞です。「itをgoさせよう、それを行かせよう」と歌っていますが、「それ」は、雪の女王が持つ、すべてを凍らす魔法の力を指しています。「魔法を押さえつけずに、あるがままに出していこう」と吹っ切れている感じですね。そして、魔法の力を解き放つことが、結局は、自分らしく生きることに繋がるのだと歌っています。雪の女王にとって、まさしくBe myselfという自立宣言だったのです。
Be yourself=ありのままでいいんだよ、という魔法の言葉と共に、手を差し伸べてくれる大人の存在も大事ですね。
LESSON
POINT2
直訳よりもわかりやすい言葉に
翻訳の肝
インタビューの最後にこう言っています。
「(心に)安心が広がって来ると、子供って勝手に動き出すんですよ」
しゃべっているのは3秒です。これを3秒間の英語字幕で伝えなくてはいけません。「安心」は英語で“relief”(リリーフ)ですが、reliefが「広がる」“spread out”? 直訳すぎて英語として通じるか分かりませんし、字幕に入り切りません。こういう風に訳しています。
⇒When there is trust, kids come alive.
インタビューは、周りの大人たちに対して安心感を持っていると解釈できます。あるいは、安心感を持って自分に向き合えるとも解釈できます。すなわち、大人たちを信用・信頼している、自分を信用・信頼しているということです。
信用・信頼は“trust”(トゥラストゥ)です。それで“When there is trust”とシンプルにしました。
「勝手に動き出す」は、“勝手に”をそのまま訳そうとすると、いろんな副詞や“as they like”や“as they want”などが頭を駆け巡ります。ここもシンプルに「生き生きとする」や「活動的になる」という慣用句を使い、“kids come alive”(キッズ・カム・アライブ)としました。
今回は歌の話をしたついでに、有名な日本の歌のことも例に出すよ。その歌の歌詞の中には「オンリーワン」というのがあるけど、自分は「唯一無二」と胸を張って生きていければ、とても幸せなことだよね。
Be yourselfはとても英語らしい表現だけど、オンリーワンに近い「唯一無二」は、英語では“the one and only”と言うよ。
サステナティーチャー
フジテレビで5年間、LA駐在を経験。現在「フューチャーランナーズ」の英語校正を担当。エンタメを利用して英語を学ぼうと、洋楽のバンド活動にいそしむ。
(C)ガチャムク
わたくしにも音楽というオンリーワンの居場所があるから、毎日、ガチャピンとわたしらしく、ハッピーに暮らしてますぞ。今度みなさんにお会いしたときには、「You are the one and only.」って言われたいですな~!
LESSON
POINT3
発音しよう
- ・Be yourself
- ・When I’m here, I can be myself.
- (ここにいれば、自分らしくいられる)
鈴木 唯
フジテレビアナウンサー
早稲田大学国際教養学部卒業。中高はオール英語のコースを選択し、米国ワシントン大学への留学経験あり。
モットーは「やらない後悔よりやる後悔」。
英語好きを仕事に生かし、ハリウッドセレブや海外アスリートの取材を担当している。大好きなレオナルド・ディカプリオもインタビュー済み。実はゲーム好き。