サステナ 英語レッスン

2021 Voice of Youth Empowerment サステナ英語プレゼンテーションチャレンジ

サステナ英語って何?

17のゴールとは

I’m What I Am

「わたしはわたし!」

すべての人に健康と福祉を

LESSON
POINT
1

“療育”ではなく“好き”を伸ばす

番組中のキーワード 療育/therapeutic rehab

「療育」とは、心身に障がいを持つ子どもに対して、社会的に自立することを目的として、医療と教育をバランスを保ちながら並行してすすめることです。東京大学の高木憲次名誉教授(1888-1963)によって提唱された概念で、「治療しながら教育する」ことが大切であるという意味合いが込められています。

これに異を唱えた主人公はこう言います。
『療育』という言葉があるんですけど、無理やり“普通の子”に近づけるための訓練をしようとする
「子どもたちを“普通の”生活に適応させる訓練だけに集中しがち」と意訳しました。
⇒“Therapeutic rehab” tends to focus only on training kids to adjust to a normal  life.
*therapeutic (癒す力のある、治療法の/セラピュティク)、rehab (rehabilitationの短縮形。社会復帰、リハビリ/リーハブ)、focus (重点的に取り組む/フォウカス)、adjust (適応する、慣れる/アジャストゥ)

今回のキーワード 「療育」 は英語で therapeutic rehab です。主人公の息子さんは自閉症で、社会に適応できるように療育を受けましたが、楽しくなさそうでした。それなら子どもに合う福祉を自分で始めた方が早いと思い、療育に縛られすぎない自由な放課後デイサービスを立ち上げました。

療育プログラムはなし。自由に楽しく過ごす中で、子どもたちの“好き”を伸ばします
⇒Instead of a therapeutic rehab program, they nurture kid’s interest through free-time.
*nurture (育む、養成する/ナーチャァ)

パソコンで絵を描いたり、自分で教材を作って学校ごっこをするなど、子どもたちは自分のやりたいことを自分で決め、思い思いに過ごします。
主人公の息子GAKUさんは、ここで絵の才能を開花させました。
詳しくはこちら:あなただけの花を咲かせよう!

好きなことで達成感を積み重ね、「わたしはわたし!」と自信を持って社会へ出て欲しいと主人公は願っています。
大人になった時に重要なのは自己肯定感とか自尊心なんですよ
⇒Self-esteem is vital when they are grown up.
*self-esteem (自己肯定感、自尊心/セルフ・イスティーム)、vital (極めて重要な/ヴァイタル)

LESSON
POINT
2

“中立”を保ちながらも 発言者の感情を明確に伝える翻訳テクニック

翻訳の肝

物事には二面性があり、見方によっては相反する価値観が存在します。

もう一度、レッスンポイント1の冒頭の文を見てみましょう。
『療育』という言葉があるんですけど、無理やり“普通の子”に近づけるための訓練をしようとする

翻訳をする際に配慮すべきは、「主観に寄り過ぎない」「原文の意図を曲げない」ことです。それを踏まえて、この文章の英訳には、注意したい点が2つあります。
① 療育そのものを否定したり、療育をしている人を不快な気分にさせない。と同時に、主人公の療育への批判もさらりと入れ込む。
② “普通の子”ってどんな子?
普通=正しい/肯定、普通じゃない=正しくない/否定-という区分けで、差別的なニュアンスを読者に与えない。と同時に、主人公の「普通の子」に込めた“皮肉”の感情をはっきりと入れ込む。

2つの点を考慮し、“中立”を保ちながら、主人公の感情もきちんと伝えられるように、原文をこう解釈しました。
療育は、子どもたちを“普通の”生活に適応させる訓練だけに集中しがちである
完成した翻訳がこちらです。
⇒“Therapeutic rehab” tends to focus only on training kids to adjust to a normal  life.

“普通の”を意味する normal はイタリック体にしました。イタリック体の用法の一つは「強調する」ことです。
主人公の発言からは、“普通って何?”という皮肉を感じ取ることができます。しかし、文全体を同じ書体で書くと、この感情がスルーされてしまう可能性があります。イタリック体を使うことで、その言葉には何かしら他の意味が込められていると効果的に伝えることができます。

因みに、イタリック体は、強調するとき以外で、次のようなときに使います。
*外国語の表記
*書籍名、劇名、文献名、美術作品名、テレビ番組名、映画作品名など

療育は治療ではなく、いかに社会に適応していくかの訓練だと言う人もいます。また今回の主人公は、障がいは個性ではなく、生まれつきの「特性」だと言っています。
障がいがあっても自分らしく生きられる、ありのままでいられる居場所を作ることが社会全体として必要とされているのではないでしょうか。

サステナティーチャーサステナティーチャー

サステナティーチャー

フジテレビで5年間、LA駐在を経験。現在「フューチャーランナーズ」の英語校正を担当。エンタメを利用して英語を学ぼうと、洋楽のバンド活動にいそしむ。

ガチャピンとムックガチャピンとムック

(C)ガチャムク

人はそれぞれだから、飛び出てることも、へこんでることもありますぞ。飛び出てることを「普通」に合わせようと必死になるよりも、飛び出てることを、もっと伸ばせばいいんですな。そうして本人に自信がつけば、へこんでることに対しても、がんばろうという気持ちにきっとなれますぞ。

LESSON
POINT
3

発音しよう

  • ・Therapeutic rehab
  • ・“Therapeutic rehab” tends to focus only on training kids to adjust to a normal  life.
  • (「療育」は子どもたちを“普通の”生活に適応させる訓練だけに集中しがちである)
鈴木 唯

鈴木 唯

フジテレビアナウンサー
早稲田大学国際教養学部卒業。中高はオール英語のコースを選択し、米国ワシントン大学への留学経験あり。
モットーは「やらない後悔よりやる後悔」。
英語好きを仕事に生かし、ハリウッドセレブや海外アスリートの取材を担当している。大好きなレオナルド・ディカプリオもインタビュー済み。実はゲーム好き。