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LESSON
POINT1
「句動詞」で自然な英語を身につけよう
番組中のキーワード 伝える/pass on, pass down
震災から10年を振り返り、主人公はこう言います。
「必死になって生きてきましたね。色んな不条理なこともあったんですけど、その中でも、花に救われたという感じはありますね」
⇒I’ve been striving to live my life. Although unreasonable things happened, flowers have always given me hope.
*strive (努力する、骨を折る/ストライヴ)、unreasonable (理不尽な/アンリザナブル)
震災当時は避難所でカメラを持ってるだけでも拒絶されたといいますが、ある日、撮影で使った花を被災者にプレゼントすると、みんなが笑顔になったそうです。
「花って人と人を結びつけて笑顔にする力があると、すごく感じました」
⇒I found that flowers can connect people and give joy and hope to them.
花が希望の風となり、主人公はこう決意しました。
「自分が感動した風景を次の世代に残していきたい」
⇒I want to pass on the scenes that moved me to the next generation.
*pass on (伝える、回覧する/パス・オン)、move (感動させる/ムーヴ)
福島の変わらない美しさを未来へ伝えたいと考えています。
「福島の自然も撮り始めた野口さん。何があっても変わらない、美しさを未来へ・・・」
⇒Now Mr. Noguchi started to take landscape photography to pass down the everlasting beauty of Fukushima for the future.
*landscape (景色、風景/ランドゥスケイプ)、pass down ([次の世代に]伝える/パス・ダウン)、everlasting (いつまでも変わらない/エヴァラスティング)
今回のキーワード pass on/pass down は「句動詞」 = phrasal verb (フレイザル・ヴァーブ)と言われるものです。
「句」は、2語以上の言葉のかたまりのことで、句動詞は2語以上で作る動詞を意味します。句動詞には三つの構成パターンがあります。
① 動詞 + 前置詞 主に後ろに目的語がつく(他動詞タイプ)
② 動詞 + 副詞 後ろに目的語がつく場合(他動詞タイプ)と、つかない場合がある(自動詞タイプ)
③ 動詞 + 副詞 + 前置詞 後ろに目的語がつく(他動詞タイプ)
pass on や pass down は①のパターンで、目的語を句動詞の後ろにつけても、間に挟んでもどちらでもOKです。
*pass on the scenes that moved me to the next generation
*pass the scenes that moved me on to the next generation
但し、目的語が it や him/her などの代名詞のときは、句動詞の後ろにはつけられず、間に挟みます。
Ⅹ pass on it
〇 pass it on
【注】これには例外があります。以下の句動詞は、目的語が名詞、代名詞に関わらず、間に挟むことができない例です。
*call on my father 父を訪問する
*look after my mother 母を世話する
② のパターン(動詞 + 副詞)の例:
(他動詞タイプ)*Don’t throw away your mask on the street. マスクを路上に捨てないで。
(自動詞タイプ)*It’s time to hurry up. 急ぐ時だ。
③ のパターン(動詞 + 副詞 + 前置詞)の例:
*I look forward to seeing you again. あなたにまた会えることを楽しみにしている。
*I look up to him. 彼を尊敬します。
①と②とは違い、句動詞の間に目的語が入ることはありません。
句動詞はネイティブスピーカーが日常会話でよく使います。自然な英語を見につけるために、使える句動詞の数を例文と共に増やしていくことがお薦めです。
LESSON
POINT2
「受動態」の使い方を工夫して 表現を豊かに
翻訳の肝
避難所の撮影に来た主人公が、被災者に拒絶されたことをナレーションではこう表しています。
「最初はカメラを持っているだけでも拒絶されました」
この文脈では、拒絶されたのはカメラを持つ主人公で、he を主語にして受動態、つまり受け身の文にするのも一つの方法です。
At first, he was refused (by the evacuees) when he appeared with a camera.
*evacuee (避難者/イヴァキューイー)
同じ受動態を使うにしても、被災者の人々を主語にしたらどうでしょうか。
それで出来た翻訳がこちらです。
⇒At first, people refused to be photographed.
*refuse (嫌がる、拒絶する/リフューズ)、photograph (写真に撮る/フォトグラフ)
カメラという単語を使わずに、人々を主語にすることで、シンプルでコンパクトな文になっています。原文の意図を変えないで、「写真に撮られることを拒絶した」人々の強い意思を伝えています。
今回のエピソードの英語タイトルにも受動態を使っています。
Fukushima Captured in Frames
*capture (形あるものに記録する/キャプチャ)、frame (フィルムの一つのコマ、フレーム/フレイム)
*Fukushima と capture の間にはbe動詞が省略されています。英字新聞の見出しなどで使われるテクニックです。書き言葉で使うと、文学的な響きを与えることもあります。
「福島は写真の中に記録される」。主人公は、先人たちが何百年、何千年もの間、引き継いできた福島の美しさを写真という形で次世代に伝えようとしています。
ここでは主人公を主語にして主観的にするのではなく、福島を主語にして客観的に主人公の思いを強調しているのです。
受動態のいろいろな使い方を取り入れることで、表現の幅を広くすることができますね。
平穏だった日常を大きく揺るがし、先の見えない不安が重くのしかかるとき、いつも見慣れた“景色”ほど心を癒してくれるものはないよね。まさしくそれが心の復興に繋がっているのだと思うよ。一枚の写真が幼いころの思い出や、大切な人との記憶につながる物語を紡ぐ。素敵なことだね。
サステナティーチャー
フジテレビで5年間、LA駐在を経験。現在「フューチャーランナーズ」の英語校正を担当。エンタメを利用して英語を学ぼうと、洋楽のバンド活動にいそしむ。
(C)ガチャムク
写真って昔のことだけじゃなくて、ぼくたちの未来のことも映しているのかな~ そんな気持ちで見ていると、ずーっとつながってるような気がするよ。友だちやふるさとのことを大事に思って、あしたもがんばろうと思っちゃうね。
LESSON
POINT3
発音しよう
- ・Pass on
- ・I want to pass on the scenes that moved me to the next generation.
- (自分が感動した風景を次の世代に残していきたい)
鈴木 唯
フジテレビアナウンサー
早稲田大学国際教養学部卒業。中高はオール英語のコースを選択し、米国ワシントン大学への留学経験あり。
モットーは「やらない後悔よりやる後悔」。
英語好きを仕事に生かし、ハリウッドセレブや海外アスリートの取材を担当している。大好きなレオナルド・ディカプリオもインタビュー済み。実はゲーム好き。